青空が広がるある日の午後、私は実家の庭に座り込み、幼い頃の思い出に浸っていた。そよ風が心地よく、辺りには花の香りが漂っている。その中で最も強く感じたのが、母の存在だった。母が私の心に漂う瞬間、一緒に過ごした時間が次々と蘇ってくる。
幼い私が発表会の緊張で泣いていたとき、母はそっと肩を抱いてくれた。優しい声で励ましてくれたその言葉は、今でも忘れることができない。「大丈夫、あなたはできるよ」と。その言葉が私の心に深く根を下ろし、自信を与えてくれたのだ。それからというもの、母の愛情に支えられて様々なことに挑戦することができた。
家の中の温かな光景も鮮やかに思い出される。晩御飯の支度をする母の姿、煮込まれるスープの香り、そしてその後に続く家族みんなでの団らん。それは、シンプルながら特別な時間で、母の笑顔がその場の空気を柔らかくしていた。食卓を囲むと、母の心のこもった料理が私たちの会話を引き出し、絆を深めてくれた。そういった瞬間が、私の心の中で母がだけの特別な存在として漂っている。
時が経つにつれ、私も母となり、我が子を育てる立場になった。子育ての中でふと立ち止まり、母の愛情はどれほどのものであったのか、反省することがある。子供が成長する過程で、私も母のように子供に寄り添い、励まし、愛情を注いでいる。しかし、母の全てを知っていたこととは言い難い。母が私を育てるために尽くした多くの苦労や努力を理解する余裕がなかったのだ。
このように「妈妈がだけの心に漂う」ことは、思い出の中で常に私を優しく包み込む。母の心の中には、愛情、優しさ、温もり、おまけに時には厳しさも含まれている。その多面的な愛こそが、私を今の私に育て上げてくれたのだと感じる。
今、我が子にもその心を伝えるべく、一日一日を大切に過ごしている。母が放った愛情の灯火を私も受け継いで、我が子の心の中で「妈妈がだけの心に漂う」という存在になれるように。母の思い出とともに、私の心の中でも、穏やかな愛が確かに漂っている。